海外遠征用のハイエンドパックロッド、どれがいいのか迷うところですね。
私は長年ツララ ジェットセッター61Cを使用してきました。一個人のインプレではありますが参考にしてもらえれば幸いです。
2015年1月の発売当初に新品購入し、4年弱に渡りベトナム、タイ、日本の三国でたびたび活躍してくれたジェットセッター61Cを手放すことにしました。
今回は長年旅の相棒であった61Cについて、いいところもいまいちなところも語り、感謝をこめて贈る言葉をつづっていきます。
出会いのきっかけはベトナム駐在時代、釣り仲間の先輩からジェットセッターって知ってる?とメールで教えてもらったことでした。
当時、天然バラマンディをザラスプーク+ベイトタックルで仕留めようと躍起になっておりツララのモレーナ53を検討していました。
ザラを投げ倒したにもかかわらず、念願のザラバラは一本も獲れず一年近くもボウズをくらいましたが(笑)。20回ほどの釣行のうち合計バイト数は5,6回、全部空振りでした。とほほ。
苦い思い出はさておき、その先輩とのメールのやりとりが残っていました。
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(ジェットセッターって知ってる?とメールをいただき、)
情報ありがとうございます。早速チェックしておりました。実は、ここ数日は夜も寝れないほど悩んでおりました。
まさに61Cか、53モレーナ、どちらにするか、です。
好みは断然61C、イラストレーターのタキシンデザインのケースも最高にイイですねえ。この強さのパックロッドでいい感じのがなかったので、あるとこの先長く使い続けると思います。まさに旅に出たくなるロッドですね。
ただ、ザラのようなトップ投げまくろうとしたら53だと思います。61Cのテーパーの記載がなくて、できればレギュラーからスローがいいんですよねえ。勝手な想像ですが、61Cはファースト気味のレギュラーかと、想像しています(スピナベ、ジグロッドの記載あり)。
それと、やはり耐久性に関しては継数少ない方が強いですよね。ただ、飛距離がどこまで出るのかは、投げてみないとわかりません。経験上5ftから6ft程なら長さの違いより、どれだけ曲げられるかで飛距離が変わると思っているので、大丈夫そうかなと。でも、全然飛ばせないかもしれません。投げてガッカリしたくはないけど、ダメでもフローター出せば良いかと開きなおってます。
61Cを知ってしまったため、自分で色んな言い訳作って、二本行きそうです。ああ、助けて下さい。釣り道具病にかかっています。
アドバイスありがとうございました。
また相談させて下さい。
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翌年2016年にシマノワールドシャウラツアーエディションが発売されたことからもわかるように、この当時ジェットセッターは怪魚&パックロッドブームの先駆けでした。
結局釣り道具病は悪化して、モレーナ53と61Cの両方をほぼ同時期にいってしまったのです。
ロッドの特性は上記の想像通りでした。
実際のところベトナムでの天然バラにはモレーナ53を愛用し、61Cの出番はほとんどありませんでしたが、日本への一時帰国やタイへの釣行ではまさに「旅するロッド」として活躍しました。
4年弱所有してみて、よかったところと、イマイチだったところを羅列します。
◯よかったところ:
- 見た目
- 長さ(仕舞寸法も)
- コンパクトだから機内持ち込みもOK
- ロッドケース(かっこいい)に収納すればスーツケースに入れても大丈夫
- ジェットセッターを感じられる所有感
×イマイチなところ:
- 価格
- 重い
- ガイドが小さい
- 耐久性
- 修理も高い
おかっぱりからでは少々短いけれどもモレーナ53を多用した理由は、61Cのイマイチなところをカバーしてくれていたからです。
重量は61Cが約160g、モレーナ53は約120gと大きく差があり、ミノーのジャークを多用したベトナムのバラマンディ狙いでは61Cは厳しすぎる重さ。
そのくせ61Cは明らかにガイドが小さく30ldリーダーでさえも巻き込み時にFGノットの結束部分が引っかかりストレスを感じます。50lbなら無理したらガイド破壊しちゃうんではないかとビビるほど。おかげでストレスを減らす結束のコツを見つけましたが。余談ですがポイントはリーダーの余りをライターで炙ったあと、ハーフヒッチをコブまでずらしてリダーの余分をゼロにすること。
で、耐久性と修理に関しては後述しますが、ぱっと見継ぎ目の華奢さから1oz程度からフルキャストを躊躇してしまう61Cにくらべ、モレーナ53は軽い割に非常にタフな作りで、宣伝文句のとおり筋肉のようなブランクスが1/4oz程度の軽量プラグから40g程度でもダブルハンドキャストでぶっ飛ばすことができました。かつガイド抜けは太いリーダーでもへっちゃらです。
そんな61Cはベトナムのおかっぱりでは自宅待機でしたが、そのかわり旅先でたくさんの思い出を作りました。
日本出張の際はいつもデカいスーツケースに61Cとリールやルアーその他道具を忍ばせており、同行した同僚は不審がっていました。
まさか夜な夜なホテルを抜け出し、相棒とリバークルージングを楽しんでいたとは思わないでしょう。
ある時は人知れず電車に揺られ、ある時は自転車で小道を巡り、釣り場についてロッドケースから若草色の相棒を取り出し、組み立てる時の高揚感はいつでも最高でした。
あの時までは。
2017年7月中旬、その日私はタイのパイロット111にいました。朝一でバラマンディを一本釣り、チャドー池に移動。トップには反応なかったものの、バイブレーションのリフトフォールで一本釣った次のキャスト直前、ラインの通りを確認(リーダーのガイド抜けが悪いため)するために何気なくルアーを竿先で軽くふった瞬間、シャクトリムシが体を曲げるようなゆっくりとしたモーションでロッドが音もなく折れてしまいました。一瞬なにがおきたかわからずフリーズしたのですが、確認してみるとファーストピースとセカンドピースの継ぎ目の根元から折れ、セカンドピースの印籠がファーストピースにハマって抜けない状態となっていました。たまたまサブロッドを持っていたので釣りは続行できましたが、翌日の釣りにも支障がでました。ほんの一週間前の釣行で90cmオーバーのバラマンディまで釣り上げたのに急になぜ?
翌月にもタイの出張&釣行予定があったため、日本に戻ってすぐに販売店にメールをいれ、保証期間外の有償修理の案内をお願いしました。自分にミスがあったとは到底思えませんでしたが、経年疲労による折れで仕方ないのかもしれないと自分を無理やり納得させるつもりでした。
しかし、有償修理の値段を聞いて心臓が止まりました。セカンドピースの交換だけで、送料など含めて約1.8万円です。それでも修理をしなければただの棒と化すわけで、選択の余地なく修理を依頼しました。5万円の竿でしたから、約7万円も費やしたことになります。購入してから約2年半が経過してはいますが、旅釣行以外は家で留守番していたので、稼働日数はとても少ない割にあまりにも高い出費。それでもこれから長い間、また良き旅の友として付き合っていければいいかなと思っていました。
翌月、セカンドピースを交換した61Cは何事もなかったかのようにタイのチャドーやバラマンディをキャッチしました。でも私と61Cの関係は以前と変化していたことに気づいたのです。また突然折れるかもしれない、もし次折れたらさすがに1.8万は出せない、そんな不安が釣りの最中頭によぎるようになっていました。一方、サブロッドとして使っていたシマノのルアーマチックが非常にいい仕事をしてくれたことも要因です。がんばロッドシリーズと称して実売価格5000円程度で流通しており、随分と昔に購入してタイに置きっ放しにしていたB58Lでしたが、61Cが戦線離脱のなか90cmに迫る大物バラマンディにのされつつも折れる心配なく釣り上げたのです。低カーボンの2ピースという違いがあるにしろ価格は10倍以上の開き。そして110gと非常に軽い。4ピースとはいえ費用対効果を考えると61Cはあまりに高く、重く、なによりも脆すぎるんじゃないか、遠征先で簡単に折れるのならロッドとして全く信頼にかけるのではないか、という思いが募ったのです。
そして12月、別れを決断するのに決定的な事件が起こります。
修理以来実質2度目の使用でした。再度パイロット111に来ていたのですが、61Cで朝一番からバラマンディを2本釣り上げ、上機嫌で釣りを楽しんでいました。3本目のバイトを感じ、フッキングがきまった直後のファーストランで「ボキッ!」という音とともに魚の重みが消えました。ロッドが中間から折れてました。幸い魚はついていたのでそのままリールだけでするすると巻き上げてキャッチ。所詮40チョイの小さなバラマンディ。意気消沈しましたが、持参していたルアーマチック58Lで釣りを続行しました。
たまたまその決定的な瞬間を頭に固定していたビデオカメラで撮影していました。釣りを撮るためだったのに皮肉なものです。家に帰ってスロー再生で何度も見返しました。たまたまでしたがキャスト直前にロッドのコミを確かめていました。だから継ぎ目にズレはありませんでした。今回はセカンドピース下部のブランク部分が真っ二つに折れたのです。つい半年前に交換し、使用回数二度目のピースです。今回は間違いなく、品質不良だと思いました。過去に転倒や不注意でロッドを破損したことはありますが、思い当たる節もなくロッドが折れた経験はありません。61Cに限ってはそれが二回も。日本に戻ってから販売店に電話とメールで事情を説明しました。後日、担当者さんから販売店代表に確認していただき、特別に無償対応としていただきました。
竿は直って大変ありがたかったのですが、折れた心は元に戻りませんでした。原因も判明せず、次こそ折れたら1.8万円の出費かも、という不安は払拭されませんでした。
61Cのブランク強度は決して高くないと思います。そして厚みはあるけど、ねじれやすい。前々から気になっていたセカンドピースから下のベントカーブの違和感は、その箇所から真っ二つに折れてしまい不安的中としか言いようがありません。
パックロッドデザインの難しいところかとは思いますが、61Cのサードピースは非常に硬く、まさに今回破断した箇所に負荷が集中するテーパー具合かと思います。でもそこは5万円の竿、やはりユーザーとしてはメーカーを信頼して購入し、期待をこめて竿を振っていたわけです。
先月、再度61Cでパイロット111に挑戦してきました。二度目の修理以降、ほんの数回のみバスとナマズ釣りに使いましたがバラマンディははじめてです。結果90cm近い大物もキャッチでき特に問題はないように思われたのですが、できるだけ竿に負荷がかからないような非常に浅い角度でのリフトしか怖くてできませんでした。たくさん魚は釣れましたが、やはり信頼関係は修復できませんでした。
61C、いままでありがとう!
次はシマノ社のワールドシャウラツアーエディション1652R-4を旅の相棒に迎えることにします。実売価格とロッドパワーが近く、気になっていました。
製品が高品質なことはちろん、ユーザー目線のアフターサービスで何度も大変お世話になり、少年時代から大好きなブランドです。大人になってからはハイエンドリールもたびたび購入しましたし、持ちつ持たれつの関係も良好といえるでしょう(笑)。
パックロッド恐怖症の深い傷は果たして癒えるのでしょうか?それともパックロッドは所詮パックロッドなのでしょうか?非常に楽しみです。
物の良し悪しはあるにしても釣り道具は体の延長、かかりつけのお医者さんのようにメーカーとユーザーの信頼関係が一番大切ではないか、という結論です。
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