ベトナム釣行記「タイ・チャドー遠征③:二日目最終日」

2016年9月初旬


 本日はM兄貴と私が同船しておもいおもいの釣りを楽しむこととする。朝一は岸際を適当に撃ちながら流しつつ、ボールを探す。ランダムキャスティングでバズベイトをけたたましく鳴らして狙っていくが、ある程度のストレッチを二人で懸命に撃ったにも関わらず反応は一切ない。陸上の植物が水没し水中で枯れ草となっているエリアなのだが、どうも魚が潜んでいる感じがなく、まるで死水のようだ。ベイトも見つからないので、このようなエリアはパスした方がいいのではと感じた。

 昨日と同じ船頭がポイントを案内してくれるが、今日は一向にボールが見つからない。状況は相当シビアなようだ。岸を撃ったり、稚魚ボール探しでボートを流して数時間が何事もなく過ぎた。ようやくボールが見つかるも残念ながら不発。それにしても昨日もそうだが、稚魚は確かに釣り人から隠れながら浮上してくる。立木の裏に隠れミスキャストを誘うなんてなかなかデキる魚だ。


 あまりに無反応なので、投げる気が失せてボートの揺れの心地よさにウトウトしていたのだが、ふと目を覚ましたポイントは、表層に小さなベイトが所々群れており、他のエリアには見られなかった浮き草がカバーを形成している。また、湖底からは縦に長く生える種類の水草が辺り一面に密集しており、所々の隙間にいかにもチャドーが隠れていそうだ。


 眠気も吹っ飛びバズベイトを撃ち込んでいくと、直後に待望の水面爆発が起こった!今釣行のファーストエクスプロージョンだ!残念ながらショートバイトでヒットには至らなかったが、チャドーからのアンサーとしては十分すぎるほどだ。次への期待が高まる。さらに船をポイントの奥に進めていくと、またもバイト!これも乗らなかったが、なんとそのまま猛スピードで追ってきて連続バイト!サイズが小さく針がかりしなかったが、その他の場所との活性の違いは一目瞭然だ。


 出るならここしかない、と集中を高めていたところ、Mさんにもバイトが!これも乗らずだが、予想外のバイト祭りに、二人とも興奮は最高潮だ。そしてその直後、浮き草エリアの一番奥に投げたMさんのバズベイトにドカン!と怪物が襲いかかった!


 すぐに船上のMさんを振り返ると、ガチガチの専用ロッドがバットまで曲がっている!ついに来たぜアニキ!ドラグが滑り強力な引きに耐え、ようやく寄せてきた魚がアナコンダのようなドデカイ頭を見せた瞬間、一気に船底に向けて突っ込む!最高にスリリングなファイトに外野の私も手に汗握るぜ!死闘の末、ネットイン。Mさん念願の天然チャドーファーストキャッチの瞬間に立ち会った。約65cm、7lbオーバのナイスフィッシュだ!まるで自分が釣った魚のように嬉しい一本。バズベイトのアシストフックに掛かっており、仮に自分のルアーにバイトしてもおそらく空振りだった、Mさんにしか取れなかった魚だ。本当に良かった。


 ここで12時をまわり昼食となった。昨日と同じくガパオを食べていると、高津さんとOさんの船が近づいてきた。高津さんが朝一のボールから3.5kgを釣ったようだ。撃ち始めてすぐに反応したらしい。その他アタリはなしとのこと。なんとか私たち二人のチャドーリベンジは達成されたが、サイズアップを目指して午後の部最後のチャンスに賭ける。 

相変わらずボールを探してワンドをしらみつぶしに回っていくが、風の影響でさざ波が立ち視認が難しい。しばらくして立木エリアで待望のボールを発見。今まで遭遇したものに比べて3倍ほどの規模で畳二畳分ほどの稚魚が群がっている。高津さんの話ではデカイボールにほどデカイ親チャドーが着いているとのこと。俄然気合が入ってキャストを繰り返す。取っ替え引っ替えルアーを交換して投入するも反応はない。このボールは一旦沈んでもすぐに浮上していたのだが、そのうちボールの移動スピードが速まってきた。船頭は風に負けぬように必死でオールを漕いでボールを追っていく。


 チャドーのボールは警戒すると冲に出る習性があるようで、このボールも立木が込み入った岸際ゾーンからだんだんと開けたエリアに出てきて、キャストがしやすくなったなと思った時だった。ジャバジャバッ!と急に水面一帯が沸騰した!どうやらチャドーの稚魚がオープンエリアに回遊していたカスープの群れに襲われたようだ。この際カスープでもいいからと、とにかくヒットを求めてルアー投げ込んだものの、いつの間にかボイルは止み、かわりに離散したチャドーの群れは初めの3割程度に減ってしまっていた。ここで船がついに追いつけなくなり、ボール撃ちを諦めた。


 その後風が急に冷たくなり、パラパラと雨が降り出した。空はどんよりと暗くなり、すぐにスコールに見舞われるのは明らかだった。たまたま岸際の民家を通りかかったため、軒下に避難して雨宿りをすることとした。しかし留守のようだが勝手に上がりこんでも問題ないのだろうか。雨足が強まりあっという間に土砂降りとなった湖面を三人で眺める。やけにゆっくりとした時間の流れを感じながら、あっという間の二日間の釣行を振り返った。


 しばらくして家の主人と奥さんが手にビニール袋を下げて戻ってきた。ガイドに何やら話しかけ、袋からまん丸の白いメロンのような瓜を取り出すと、その場でナイフで切り分け手渡してくれた。ほんのり甘く、ほっこり優しい味だ。瓜にかぶりついて皮だけになると、ちょうどいいタイミングで雨が止んだ。コップンカップ、と胸の前で手を合わせてご主人と奥さんに感謝を伝えて船に乗り込む。


雨上がりの美しい夕日を背に受け、二日間の大冒険は幕を閉じた。

ベトナム釣行記「タイ・チャドー遠征②:初日」

2016年9月初旬


 ポイントまでの移動途中に高津さんに私のルアーボックスを見てもらう。トップでボコボコ、ウハウハの希望とは裏腹に、事前情報のとおり潜るルアーが今回要となるようだ。オススメとしてアンダー用にコンバットクランクと、持参のものよりも大きいCDマグナム、トップ用にプロペラ仕様のスキッターポップ改をお貸しいただいた。


 Barraを営む高津さんはタイに移住されて18年、バラマンディもチャドーも数々の大物を仕留めてきた大々ベテランのガイドだ。その経験に基づいた様々なアドバイスをくれた。チャドーは孵化した稚魚をオスがある程度大きくなるまで側に付いてプレデターから子を守る、というなんとも育メンな生態をもつ。今回妻子をベトナムに置いて、タイまで遠征釣行に来てしまった私とは恥ずかしながら正反対だ。


 メインとなる釣り方は、稚魚ボールをサイトで見つけてはひたすら叩いていくようだ。そのうち堪りかねた親チャドーが怒ってルアーにアタックするらしい。話によるとメスのチャドーも稚魚ボールについて行動しており、うまく狙えばオスよりさらに大きなママを釣ることもできるとか。ランダムのキャスティングでは、ほとんどヒットは望めないということなので、ボートを走らせひたすらボールをサーチする。


 しばらくして岸際の立木群に待望のボールを発見。まずはお借りしたスキッターポップ改をボールの奥へ投げ込んで早巻きする。するといきなり5、6匹の稚魚が群がりながらアタックを仕掛けてきた。うまく針がかかり、開始早々チャドーをゲットした。姿はまだまだ子供だが、いきなりの本命ボウズ逃れで大物への期待が高まった。


 ボールはルアーを打ち込むたびに一旦沈むのだが、しばらくすると再び付近にワラワラと浮かび上がってくる。雷魚は魚類でも珍しく空気呼吸をするためだが、話によると本当はエラ呼吸だけでも生きていけるらしい。確かに当日はほとんど呼吸を確認することができなかった。ボールはまるでゴンズイ玉のように稚魚が折り重なり水面を移動する。ボールの移動パターンによって、直下の親チャドーが釣れるかどうか大体予想が付くらしい。すぐに逃げていくような場合は、親が釣られてしまった後などで留守なんだとか。


 一つ目のボールは、どうやら親チャドーが不在のようで、再浮上するたびにどんどん離れていってしまう。船頭は追跡に必死で頑張ってくれている。それにしても立木の裏などキャストで狙いにくいポイントに毎度のように現れるので、高津さん曰く、釣り人から身を守っているそうだ。それほどチャドーは賢い。確かに非常に警戒している様子だった。結局トップでもアンダーでもビッグバイトは得られず、次を探すことになった。


 続いて二つ目のボールを細いワンドの一番奥で見つけた。同じようにトップで誘うも、チビからしか反応は得られない。このボールはこちらの意図を分かっているのか岸際に仕掛けてある漁網の囲いの中に居座っていたため、船からはアンダーのルアーを一切投げることができなかった。ボールは頑なにそこに居座り離れようとしなかったため移動となった。


 続いて三つ目のボールはトップでもアンダーで攻めても親チャドーは留守のようだったので、アライくんタックルで少し遊んでみることにした。バスベイトではノリが悪く、小型ペンシルベイト、ポッパー、スイッシャーとトップルアーを順に試したが、結局小型ミノーのフッキング率が一番高かった。喰いに来るというよりも仲間と思ってじゃれてついてきている、そんな印象も受けた。意外なことにスイッシャーには無反応だった。 

ここで休憩。船上でランチボックスに入ったタイフード定番のガパオ(ひき肉バジル炒め)を昼食にいただいた。私の大好物! 午後はプラー・チョンの釣り方を教わった。ベトナムでも一般的で食卓にもならぶ小型の雷魚のことだ。水没した陸上の草が見え隠れするような岸際にバズベイトを放り込んでいく釣りが効果的なよう。私にはチャドーの着き場との違いがわからなかったが、一度ポチョッと弱いバイトがあった。おそらくプラー・チョンのバイトだったのではと思う。小型のチャドーかもしれないが、アタックは一度のみで沈黙した。


 日が傾きはじめた頃、四つ目のボールに遭遇した。すかさずトップ担当の私がバズベイトで水面をかき回し、アンダー担当の高津さんはクランクで稚魚を蹴散らす。それぞれトップとアンダーで撃ちまくるがバイトはない。私はまたアライくんタックルを交えて稚魚をイジメつつしばらく攻めていたが、どうもこのボールは定位置からほとんど移動しない。散々ルアーを取っ替え引っ換えしたので、これ以上トップで攻めても喰わない気がした。「そろそろ親チャドーも我慢の限界かもしれないですよ」とクランクを投げ続ける高津さんが言うのを聞いて、シャッドッラップ9をモレーナのタックルにセットし、リールのクラッチボタンに親指を乗せて湖面のざわつきを待ち構えた。 

次のボール浮上直後のタイミングに合わせた一投目、入魂のキャストはシャッドラップの飛行姿勢を保ちながらゆるやかな弧を描き、ボールのど真ん中を5メートルほど超えて着水した。ハンドルを数回転させボールを抜けるあたりにさしかかったところで、「ガツン!」といきなり手に衝撃が走る!にわかに信じられなかったが、ついにヒットした!ガンガンとした固い引きは明らかにチャドーだ!それに間違っても先ほどまでのチビスケ共とは別格だ!


 高津さんが追い合わせの指示を出す!竿先が絞り込まれ緊張が最高潮に達する中、チャドーはいっぱいに締めたドラグを引き出して深みに突っ込む。絶対に獲ってやるという気合だけでリールを巻き上げた。舟べりまで寄ってからも右へ左へエラ洗いで飛び回る。「焦らず弱らせて!」という高津さんの言葉に少しばかりの落ち着きを取り戻し、ロッドを水中に突っ込んで引きに耐えた。船頭からネットを受け取った高津さんが魚の浮上を待ち構える。そして最後はおとなしくなったチャドーがきっちり頭からネットに収まった。


 「よっしゃあああ!」、衝動的に拳を空に突きあげた。4lbオーバーのチャドーと決して大きくはないが、この感動は何ものにも変えられないスーパーヘビー級だ。高津さんとがっちりと握手を交わした。


 4時過ぎには早めの納竿。この日はそのワンチャンスのみで、他の3名はノーキャッチだった。握手した時、釣らせることができたというガイドとしての安堵の笑顔と、釣られて悔しそうな表情が若干見え隠れした、お茶目なガイドの高津さんに感謝しております(笑)。ありがとうございました!


 ※ 余談だが今回同行したガイドの高津さんには、「あなた、ガイドでしょっ」と思わずツッコミたくなるところがたくさんあった。例えば稚魚ボールに我先にルアーを投げ込んだり。ボールはせめてお客の私に先に撃たせて欲しい。私も釣りキチだから釣りたいその気持ちは共感できるが、1日に1本取れるかどうか、大金を払っておきながら、そんな貴重な魚をガイドに釣られてしまったら泣くに泣けない。

ベトナム釣行記「タイ・チャドー遠征①:出発」

2016年9月初旬


 ジャイアント・スネーク・ヘッド。名前を聞くだけでゾクゾクさせてくれる。 ついに念願のチャドーリベンジ釣行決行だ。金曜日の夕方便でホーチミンからバンコクに飛んだ。荷物制限ギリギリの計25kg。ロッドはメインとなるモレーナ53とお遊び用にアライくんロッドの二本をバズーカに収納し、アンダーウォーター用にはジェットセッター61Cをスーツケースに詰め込んだ。リールはアンタレスDC HG、カルコン200、アンバサダー2500Cの3つだ。トラブルが起きぬようしっかりメンテナンスを施し、さらに試投して動作を確認済み。過去に釣り場で泣いた分だけ釣り人は成長するのだ。 ラインはそれぞれPE4号、3号、2号。ショックリーダーはメインのリール二つに50ldと、2500cには25lbをFGノットできっちり結んだ。魚に直接触れるフックから順に手元のロッドとリールまで、スプリットリング、スナップ、結び目、ライン、ガイドなど何か一つでも不具合があると、大物であればあるほど取り逃がす可能性が増幅するのが釣りの難しさであり、同時にそれが醍醐味でもある。入念な準備をするところから、すでに勝負は始まっている。 

ルアーは何がハマるか予想できないので、ありったけをタックルボックス2個に分散。事前情報では稚魚ボールを撃つためにクランクベイトなどのディープダイバー系が必須とのこと。新たにラパラCDマグナムと廃番のリストラップをミンタンタックルで購入した。タイにチャドーを釣りに行くことを店主のフイさんに伝えたところ、このリストラップを強くお薦めされたので初めて買ってみたが、キャスタビリティ十分の重量だ。フイさんはよっぽど薦めてくれたので、ほこりをかぶり長期在庫だったこと意外にも何か理由があるはずだ。他にシャッドラップやシーバス用のロングビルミノーを詰めて準備万端。トップはバズベイトがメインとなるようなので、トレーラー用のワームも用意した。


 今回はタイ在住のM先輩に依頼し、彼の知り合いの高津さんという現地釣りガイド兼釣り具屋Barra代表の方に一泊二日のツアーを企画してもらった。目的地はシーナカリンダム、バンコクから北西400kmに位置する大規模なリザーバーだ。チャドーのベストシーズンは8月、9月と聞いていたが、どうやら今年は雨が例年に比べて非常に少なく水位が低いようで、大型魚を釣るために一番有効と言われる稚魚ボール撃ちの肝心のボールが少ないらしい。本来ならダムが満水になるタイミングが最高のようだ。しかし、状況が思わしくなくてもフィールドに立ってやることは同じ。諦めることなく時間いっぱいキャストを繰り返すのみだ。


 深夜1時半に迎えのハイエースが到着し、ロッド、バッカン、リュックを積んで乗り込む。なんともショッキングなことに出発寸前にお気に入りの高級偏光グラスがケースごと無くなっていることに気づいた。どうやら空港移動途中のタクシーに落としてきたようだ(涙)。ありえない、すでにラインブレイクを超える悲しさに打ちひしがれた。それより偏光グラスなしでどうやって釣りすんねん!まあ、パスポート紛失に比べれば屁でもないと、必死でセルフマインドコントロールをして不甲斐ない自分への怒りを鎮めた。 

久々にM先輩に再会し積もる釣り話もあるが、まずは明日のためにと爆睡を決め込む。テンションがた落ちの「サングラス紛失、からの偏光グラスなし釣行」となったこともなんとか記憶から消し去りたい気分だった。途中コンビニに寄って食料を買うついでに店内を見渡すと、なんと偏光グラスを発見!釣りの神様のご加護か、300Bで購入。おもちゃみたいなもんだがこれで大いに助かった。


 朝8時頃、湖畔のロッジに到着した。事前ではホテル泊と聞いていたが、どう見ても掘っ建て小屋にしか見えない。そもそも四方の囲いがないから、ドアもなければ窓もない。トイレはもちろん手桶で水を流すタイプだ。ロッジは水上に浮いており、排泄物は直下へボッチャン。ウンコがティラピアの餌となり、そのティラピアを人間が食うという食物連鎖が想像できる。私はベトナムの経験もあり、どちらかというと大丈夫だが、一般的な日本人では決して快適とは言えないだろう。


 宿泊環境はさておき、メインは釣りだ。早速タックルを準備して木造船に乗り込む。初日は私がガイドの高津さんと同船してチャドーの釣り方をレクチャーしてもらうのだ。船頭が一人付いて、草刈りエンジンとオールで操船してくれる。もう一船にはMさんが日本人駐在員のOさんと同船した。私はOさんとも初対面だが、彼のタックルと格好を見れば相当やり込んでいるのが一目瞭然だ。こうして4人の日本人釣りキチ達は広大な湖面にオンボロボートを走らせた。遠くに山々が連なる360度の大自然に身を投じれば、日常の悩み事など遥か忘却の彼方へ。蛇頭魚 vs 釣り師、両者野獣の真剣勝負のはじまりに胸は高鳴るばかり。

ベトナム釣行記「ルアー釣りの魅力: きっかけ」

2016年8月


タイのチャドー遠征を明日に控え、気持ちは高まるばかりだ。今回は果たしてどのようなドラマが待ち受けているのだろうか。この抑えきれない興奮を指に乗せて、今日はルアー釣りの魅力について思うことを叩き連ねてみたい。エサ釣りもしたことがなかったのに、なぜルアーから釣りの世界の扉を開けたのか、少年時代を振り返ってみる。


きっかけは「川のぬし釣り2」だ。私が小学4年生の秋、2年生の弟が同級生に借してもらったスーパーファミコンのソフトだ。IT化が進んだ現在の世代からは想像できないことがたくさんあるが、当時は小学校から家に帰ると決まって兄弟姉妹が友達の家に集まってファミコンをすることが全国の小学生の楽しみだった。

「川のぬし釣り2」は渓流の田舎村を出発し、下流の川や湖を冒険しながら様々な魚を釣り、伝説のぬしを探すゲームなのだが、釣り手帳というものがあり、初めての魚を釣るたびにページが増えていくので、たくさんの魚について知る機会となった。魚の名前はもちろん、食性や生息環境なども簡単に覚えた。そして、ゲームを進めるにつれて魚を売ったお金で釣り道具を揃えていく中で、ルアーというオモチャみたいなエサに興味を持った。オモチャで本当に魚が釣れるのか?と。

当時、世は空前のバス釣りバブルだった。羽振りよくゴールデンタイムに釣りのテレビ番組が放映されていた。上州屋がスポンサーの「千夜釣行」という番組が好きになり、テレビにかじりついて見ていた。イカしたサングラスをかけて出演していた男の名前はKEN SUZUKI。常にサングラスをかけていたし、英語の名前だから外人さんか、カッコイイなと思っていた。のちに上州屋創始者の息子さんだったことが分かったのだが、大人の事情など知る由もなかった。

KENは何本ものハイテクなタックルを載せたバスボートで湖を凄いスピードで縦横無尽に跳び回り、オモチャ箱のようなルアーボックスから一つをラインに結び、器用にポイントにキャストし、魚をかける。決めゼリフの「フィッシュオン!」が夢の中で何度もリピートされた。少年なら誰だって憧れるはずだ。ブラックバスを釣ってみたい、という衝動が湧き上がった。

正月を迎え、新年初売りの一番でっかい新聞折り込みとお年玉を握りしめ、父に車で連れて行ってもらった上州屋。チラシに大きく赤丸をつけて、買うものはすでに決まっていた。戦隊ヒーローのように私がレッド、弟がブルーの色違いで5000円のベイトリールとロッドのセットを手に入れたあの日が、大冒険の始まりだった。

バックラッシュはするわ、ラインがスプールの溝に噛むわで、初心者には全く使い物にならなかったベイトタックルだが、スポーツカーのように惚れてしまってはしょうがない。カッコいい、面白そう、という本当に単純だけど純粋な気持ちは20年以上経った今も変わらず。だから明日もぬしを求めて冒険に出かけるのだろう。

ベトナム釣行記「ダニ池」

2016年8月21日釣行


今週も行くぜ。
ASHさんと二人釣行。普段通り5時にアパートに迎えに来ていただく。いつもありがとうございます。バイク2ケツでニャベのフェリー乗り場へ。途中コンビニに寄り、池の管理人へのお土産を購入する。数少ない釣り場にこれからもお世話になるためには、感謝の気持ちを伝えることが大切だ。毎週末釣りに行けることも家族への感謝を忘れないようにしなければ。


バス釣行は今回で3度目となった。毎度池の入り口前でバスの運転手に降ろしてもらえるから非常に都合がいい。色々とお固い日本でも、田舎ならバス停以外での降車を許してくれるのだろうか。


ところで来月はタイ遠征釣行を控えている。ターゲットは野生のジャイアントスネークヘッド。今回でツアーに参加するのも3度目となる。呼吸撃ちや稚魚ボール撃ち用のアンタレスDCのロングキャストに慣れる必要があるため、最近はツララモレーナ+アンタレスDCと、アライくんロッド+2500Cの2本差しが定番の携行タックルとなった。モレーナは重量ルアーを遠投して広範囲を探るため、またジャークでパワーが必要なシャッドラップ9などを岸際で使用する。アライくんロッドは3gほどの軽量ルアーからザラスプーク程度までと、バラ狙いにおいてメインルアーのほとんどをカバーするが、基本的には岸際のピンポイント狙いで使用する。ティップは柔らかくバットが粘るため、非常にノリが良く、不思議なほどバレにくいお気に入りのロッドだ。もともとはアライくんリールというズイールのスピンキャストリールを使用してのボウ&アローキャスト専用ロッドとして開発されたようだが、キャスティングは全く問題ない。日本のナマズにも是非使ってみたいところだ。


満潮からの下げ始め、まずは池へとつながる狭い水路から釣りを開始した。幅は5mほど。前回ジグヘッド+ワームの調子が良かったため、新たに買ってきたケイテックのスイングインパクト3インチ FATをセレクト。水門の吐き出し口近くは激流となっており、一応ワームを落とし込んでみるものの反応は無い。少し進んだ先の岸際にクイが打ってあるポイントがあり、すぐ脇にフリップキャストで落としてダウンストリームでゆっくり引いてくると、ブルブルといきなりアタリ!
開始5分も経たず、初めてのマングローブジャックゲットだぜ。とてもカッコイイ魚だ。一度釣ってみたかった。


撮影&リリース後、続いて怪しいポイントを発見。水路には所々くぼみが作ってあり、反転流が確認できた。それにオダが絡んで流れのヨレができている。クロスキャストでくぼみにあるストラクチャー脇に落とし、流れに乗せて通過させる。私の立ち位置を通過しダウンストリームを受けてルアーがU字ドリフトを終え、強い流れの中でサスペンドした瞬間、銀色の塊がストラクチャーの影からルアーに飛びかかった。


細軸のフックが伸びないように緩めに設定したドラグが鳴り、ラインが引き出されるのをスプールを押さえてファイトする。流れに乗って暴れるバラマンディはスリリングな引きだ。狭い水路にはあちこちに障害物があり、非常に緊張するやり取りだ。

無事キャッチ。40upを捕獲した。これはいわゆるドリフトメソッドか?
釣り開始から10分ほどで快進の二本キャッチ。過去に例を見ない最速フィッシュだ。この調子なら、余裕を持って大物を狙えるぜ、とずんずんマングローブジャングルを進んでいく。しかし他に反応がなく、30分ほどで水路を抜けて本池に到着。ASHさんが黙々と竿を振っているが、特に魚信はない様子。


前回反応が得られたポイントに移動するも、ゴミや泡が浮いており、水質は良くなさそうだった。いろいろなアプローチを仕掛けるが特に反応は無い。練習のため蝦夷スプーンを遠投しようと少し力んでキャストした瞬間、バチッとラインが鳴り、ぽちゃんと虚しく波紋が広がった。遠投用に際どいセッティングをしたアンタレスDCはバックラッシュした時に、遠心ブレーキに比べてとんでもない絡み具合になることが多々ある。重量ルアーを使用するため、このように高切れする事もキャスト練習中に度々経験した。PEラインを使用するならなら太め(4号から安心)で信用できるものをお勧めしたい。


そのまま数時間が過ぎた。やはり、水路狙いが正解か?帰り道に水路を撃ってみるものの、干潮の影響で朝は見えなかったストラクチャーがたくさん露出している。マングローブの倒木がたくさん沈んでおり、ハードルアーならロスト必須、朝のワーム使用は正解だった。流れも随分と穏やかになっていた。結局反応なく、ここで納竿とした。


今回わかったことは、捕食態勢の魚にとって流れとストラクチャーが何よりも重要だということだ。流れの中に身を隠せて、楽に捕食できるポイントにイイ魚は着いている。水路は満潮時に狙うことで、魚と出会える可能性が高くなるだろう。次回の攻略に役立てたいと思う。