ベトナム釣行記「キャスティング研究部」

2016年8月


ベトナム・ホーチミンに住んで早2年半。ここでの生活は正直言って気軽に釣りに行けるわけではなく、唯一楽しみである週末釣行も仕事やら家族サービスで行けないことも多々。そんな厳しい環境ではあるが、実はキャスティング技術はどんどん上達している。なぜなら平日でも自宅内外でキャスト練習を行っているからだ。

VADの仲間からは、オタクフィッシャーマンとして完全にネタにされているが、私は本当に楽しみながら練習している。また、無心で投げていると仕事で疲れた脳味噌がリフレッシュされるのだ。基本的にはジム先生がオススメしている5メートルほどのショートキャストを室内で繰り返し行う。ロッドはプッシュウォーターアライくん5ft、リールは2500c、ルアーは自作のキャスティングシンカーだ。


なぜここまでキャスト練習が好きになったのか、理由を考えてみた。きっかけはフローターのトップウォーターバスフィッシングを始めたことにある。オカッパリバサーだった頃はルアーロストを恐れて、思い切った狙いができていなかった。しかし、水上に浮くようになってから、ロストを恐れずストラクチャーをタイトに攻めれるようになった。そしてきわどいキャストが決まれば、よりたくさんの魚が釣れることを痛感した。ミスキャストたった一投で絶好のポイントを潰すことも。

たくさんのバスを釣っていくうちに、バスがより好むポイントを見極められるようになった。そしてデカイ魚は条件の良いポイントに優先的についていることを理解した。小規模の野池をホームグランドとしていたため、釣行の度に池を何周もしてわかったことだ。夏場は早朝仕事前にフローターで通った。良いポイントに最初の一投でキャストを決めることが、トップウォーターの釣りで魚に出会う一番の近道だった。それがわかってから、キャストを決めることが快感となったのだ。


キャスティングは奥が深いが、基本が何であるかわかったのはベトナムに来てからだ。きっかけはジム大先生のベイトキャスティングマスターDVDである。ちょうどフェザーウェイトのガングリップを初めて買って、シングルハンドのキャスト練習を始めた頃だ。大先生はロッドは振るのではなく、曲げるのだ、というのだが、まさにこれが全ての基本である。シングルハンドでベイトリールのキャストができない人は、たとえ何十年の経験があるアングラーであっても、キャスティングを知らないと言っても過言ではない。基礎がなければいつまでたっても上達はできないと身をもって断言できる。


ロッドを曲げるとはどういうことか。私のイメージではルアーキャスティングは弓矢に近いと思う。弦を矢で引いて弓をしならせる代わりに、ルアーの重さと遠心力でロッドを曲げ、しなった反動でルアーを発射する。この仕組みを理解すれば、サイドハンドもバックハンドも正確に、パワフルに投げられるようになる。そしてフリップキャストもできるようになる。


アングラーにとって、このDVDは買って損しないどころか、逆に買わなければ大損すると言えるだろう。基本的な解説はDVDに登場する大先生にお任せすることとして、私が発見したキャスティングのコツを二つここで公開したい。大先生は基本だけを説明し細かいコツは教えないが、映像を見て自分で気づけということだろう。


ひとつはキャスティングのアキュラシーを安定させるために、キャスト時に頭を一切動かさないようにすることだ。首で頭部をサポートするイメージを心がけるだけで、体のバランスが固定され驚くほど正確なキャストができるようになる。背骨を伸ばして頭からつま先まで一直線の土台となり、手首だけを素早くスナップさせるだけで非常に鋭いキャストが可能となる。竿先を目標に一直線に向けて、毎度同じ手首のスナップ可動を行えばオーバーヘッドキャストもフリップキャストもルアーはまっすぐにしか飛ばないはずである。


二つ目はフリップやサイドなどのアンダーからのキャスト時にルアーを水面と平行に飛ばす方法について。いたって簡単なことだが、ルアーの軌道が頂点に達し、下がり出すタイミングからロッド先端を徐々に持ち上げて高さを調整すれば水面と平行に飛ばせる。その飛距離はどれだけ初速を稼げるかによるが、オーバーハングの奥の奥に打ち込むためにはロッドを持ち上げる動作が必要不可欠ということだ。同じ原理としてはスキッピングが挙げられる。重力により落下していくルアーをサミングをしながらロッドを持ち上げることにより跳ねさせるのだが、物理的には重力と引っ張り上げる力がプラスマイナスゼロを保てばルアーは落下せずに水との摩擦とサミングでスプール回転が収まるまで水面をスキップするはずだ。この技術を習得すれば理論的には着水音をもゼロにすることができる。


昔の教本などではロッドは2時の位置まで振りかぶり11時のタイミングでリリースするなんて書いてあったが、真のキャスティングは全くもって別物である。間違って覚えた方は今こそ練習を始めるべきだ。5mキャストを連続で行えば1分で10回はキャスト出来る。1時間練習を行えば、600回のキャスト練習だ。続ければキャストは絶対にうまくなる。キャストがうまくなればさらに魚が釣れるようになる。だからどんどん釣りが楽しくなっていく。

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