ベトナム釣行記「タイ・チャドー遠征③:二日目最終日」

2016年9月初旬


 本日はM兄貴と私が同船しておもいおもいの釣りを楽しむこととする。朝一は岸際を適当に撃ちながら流しつつ、ボールを探す。ランダムキャスティングでバズベイトをけたたましく鳴らして狙っていくが、ある程度のストレッチを二人で懸命に撃ったにも関わらず反応は一切ない。陸上の植物が水没し水中で枯れ草となっているエリアなのだが、どうも魚が潜んでいる感じがなく、まるで死水のようだ。ベイトも見つからないので、このようなエリアはパスした方がいいのではと感じた。

 昨日と同じ船頭がポイントを案内してくれるが、今日は一向にボールが見つからない。状況は相当シビアなようだ。岸を撃ったり、稚魚ボール探しでボートを流して数時間が何事もなく過ぎた。ようやくボールが見つかるも残念ながら不発。それにしても昨日もそうだが、稚魚は確かに釣り人から隠れながら浮上してくる。立木の裏に隠れミスキャストを誘うなんてなかなかデキる魚だ。


 あまりに無反応なので、投げる気が失せてボートの揺れの心地よさにウトウトしていたのだが、ふと目を覚ましたポイントは、表層に小さなベイトが所々群れており、他のエリアには見られなかった浮き草がカバーを形成している。また、湖底からは縦に長く生える種類の水草が辺り一面に密集しており、所々の隙間にいかにもチャドーが隠れていそうだ。


 眠気も吹っ飛びバズベイトを撃ち込んでいくと、直後に待望の水面爆発が起こった!今釣行のファーストエクスプロージョンだ!残念ながらショートバイトでヒットには至らなかったが、チャドーからのアンサーとしては十分すぎるほどだ。次への期待が高まる。さらに船をポイントの奥に進めていくと、またもバイト!これも乗らなかったが、なんとそのまま猛スピードで追ってきて連続バイト!サイズが小さく針がかりしなかったが、その他の場所との活性の違いは一目瞭然だ。


 出るならここしかない、と集中を高めていたところ、Mさんにもバイトが!これも乗らずだが、予想外のバイト祭りに、二人とも興奮は最高潮だ。そしてその直後、浮き草エリアの一番奥に投げたMさんのバズベイトにドカン!と怪物が襲いかかった!


 すぐに船上のMさんを振り返ると、ガチガチの専用ロッドがバットまで曲がっている!ついに来たぜアニキ!ドラグが滑り強力な引きに耐え、ようやく寄せてきた魚がアナコンダのようなドデカイ頭を見せた瞬間、一気に船底に向けて突っ込む!最高にスリリングなファイトに外野の私も手に汗握るぜ!死闘の末、ネットイン。Mさん念願の天然チャドーファーストキャッチの瞬間に立ち会った。約65cm、7lbオーバのナイスフィッシュだ!まるで自分が釣った魚のように嬉しい一本。バズベイトのアシストフックに掛かっており、仮に自分のルアーにバイトしてもおそらく空振りだった、Mさんにしか取れなかった魚だ。本当に良かった。


 ここで12時をまわり昼食となった。昨日と同じくガパオを食べていると、高津さんとOさんの船が近づいてきた。高津さんが朝一のボールから3.5kgを釣ったようだ。撃ち始めてすぐに反応したらしい。その他アタリはなしとのこと。なんとか私たち二人のチャドーリベンジは達成されたが、サイズアップを目指して午後の部最後のチャンスに賭ける。 

相変わらずボールを探してワンドをしらみつぶしに回っていくが、風の影響でさざ波が立ち視認が難しい。しばらくして立木エリアで待望のボールを発見。今まで遭遇したものに比べて3倍ほどの規模で畳二畳分ほどの稚魚が群がっている。高津さんの話ではデカイボールにほどデカイ親チャドーが着いているとのこと。俄然気合が入ってキャストを繰り返す。取っ替え引っ替えルアーを交換して投入するも反応はない。このボールは一旦沈んでもすぐに浮上していたのだが、そのうちボールの移動スピードが速まってきた。船頭は風に負けぬように必死でオールを漕いでボールを追っていく。


 チャドーのボールは警戒すると冲に出る習性があるようで、このボールも立木が込み入った岸際ゾーンからだんだんと開けたエリアに出てきて、キャストがしやすくなったなと思った時だった。ジャバジャバッ!と急に水面一帯が沸騰した!どうやらチャドーの稚魚がオープンエリアに回遊していたカスープの群れに襲われたようだ。この際カスープでもいいからと、とにかくヒットを求めてルアー投げ込んだものの、いつの間にかボイルは止み、かわりに離散したチャドーの群れは初めの3割程度に減ってしまっていた。ここで船がついに追いつけなくなり、ボール撃ちを諦めた。


 その後風が急に冷たくなり、パラパラと雨が降り出した。空はどんよりと暗くなり、すぐにスコールに見舞われるのは明らかだった。たまたま岸際の民家を通りかかったため、軒下に避難して雨宿りをすることとした。しかし留守のようだが勝手に上がりこんでも問題ないのだろうか。雨足が強まりあっという間に土砂降りとなった湖面を三人で眺める。やけにゆっくりとした時間の流れを感じながら、あっという間の二日間の釣行を振り返った。


 しばらくして家の主人と奥さんが手にビニール袋を下げて戻ってきた。ガイドに何やら話しかけ、袋からまん丸の白いメロンのような瓜を取り出すと、その場でナイフで切り分け手渡してくれた。ほんのり甘く、ほっこり優しい味だ。瓜にかぶりついて皮だけになると、ちょうどいいタイミングで雨が止んだ。コップンカップ、と胸の前で手を合わせてご主人と奥さんに感謝を伝えて船に乗り込む。


雨上がりの美しい夕日を背に受け、二日間の大冒険は幕を閉じた。

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